メインコンテンツへスキップ

販売サイトが明日消えても、あなたのお店は消えないように

| Alaudae.JP

小さな作り手の自衛手帖 — 「借りている場所」と、じぶんの居場所のお話

*Isamu Hibari / Alaudae.JP*

はじめに:今日は、こわい話ではありません

このシリーズでは、[作品のアイデア](URL)、[作品の写真](URL)、[お店の名前](URL)を守るお話をしてきました。前回は少し難しい制度の話になってしまったので、今日はぐっと肩の力を抜いて。法律の話は、いっさい出てきません。

今日のテーマは、minne や Creema、Instagram など、作品を売ったり見せたりしている「場所」のお話です。

とても便利で、素敵な場所ですよね。お客様が集まっていて、決済も配送連絡もおまかせできて。私たち小さな作り手にとって、なくてはならない存在です。

ただ、ひとつだけ、頭の片隅に置いておいてほしいことがあります。

あの場所は、借りている場所だということ。

商店街のお店を借りている、と考えてみてください

販売サイトや SNS は、にぎやかな商店街の一角を借りて、お店を出しているようなものです。人通りが多くて、看板も出してもらえて、ありがたい場所。

でも、借り物の場所には、借り物なりの心もとなさがあります。

  • 商店街のルール(規約)が変わったら、従うしかありません。手数料が上がっても、です
  • 何かの手違いでお店を閉められてしまう(アカウント停止)ことも、ゼロではありません。しかも理由がよくわからないまま、ということも
  • 商店街そのものが閉鎖される(サービス終了)ことだって、長い目で見ればありえます

こわがらせたいのではないのです。実際、ほとんどの方は何ごともなく使い続けられます。ただ、もしものとき——長年ためてきたお客様のレビューも、フォロワーさんとのつながりも、作品の写真も、ぜんぶ借りている場所の中にあるとしたら。それはちょっと、心もとないと思いませんか。

だから、小さな「じぶんの居場所」をひとつ

答えはシンプルです。借りている場所とは別に、誰にも閉められない、じぶんの居場所をひとつ持っておくこと。

大げさなものでなくていいのです。立派なネットショップを作りましょう、という話ではありません。たとえば:

まずは無料ブログひとつからでも

作品の写真と、制作のお話を載せる場所。それだけでも「借りている場所の外」に、あなたの記録が残ります。このシリーズの最初にお話しした「日付のある記録」の置き場所にもなって、一石二鳥です。

少し進んで、じぶんのドメイン(ネット上の住所)

年に千円ちょっとで、「あなただけのネット上の住所」が持てます。この住所は、どの商店街にも属していません。引っ越しても(ブログサービスを変えても)、住所はあなたのものとして持ち歩けます。

お客様との連絡先を、じぶんの手元にも

いちばん大切なのは、実はこれかもしれません。リピーターのお客様やファンの方とのつながりが、販売サイトのメッセージ機能「だけ」にあると、場所が消えたときにつながりも消えてしまいます。メールマガジンでも、LINE 公式でも、形は何でも構いません。あなたが直接ごあいさつできる連絡先を、少しずつでも育てておくこと。

 

「お引っ越し」ではなく「別荘」です

こうお話しすると「今の販売サイトをやめたほうがいいの?」と思われるかもしれません。ちがいます、ちがいます。

にぎやかな商店街には、商店街にしかない良さがあります。新しいお客様との出会いは、やっぱり人の集まる場所で生まれます。やめる必要はまったくありません。

イメージは「お引っ越し」ではなく「小さな別荘」です。ふだんは商店街のお店で楽しく営業して、別荘のほうには、作品の記録と、大切なお客様との連絡先を、少しずつ運んでおく。もしものときは、そこがあなたの避難所になります。何もなければ、それはそれで、あなたの作品の歴史が積もっていく素敵な書斎になります。

じつは筆者は、少しめずらしい道を選びました。実店舗を持つことができない事情があり、それなら借り物の場所に頼るのではなく——と、インターネットの上に、自分の店を自分の手で建てたのです。商店街に出店するのではなく、自分の土地に自分の店を構えた、と言えばいいでしょうか。

正直に言えば、手間はかかります。お店の掃除も、戸締まりも、ぜんぶ自分の仕事です。それでも「この店は、誰にも閉められない」という安心は、何ものにも代えがたいものです。

もちろん、ここまでする必要はありません。にぎやかな商店街と、小さな別荘。その組み合わせで、じゅうぶんです。ただ「自分の店を建てる」という道も世の中にはあるのだと、頭の隅に置いていただければ。

きょうできる、小さな一歩

ぜんぶ一度にやる必要はありません。できそうなものを、ひとつだけ。

  1. 作品写真の元データを、パソコンや外付けの記録にも保存する(販売サイトの中だけに置かない。これは今夜できます)
  2. お客様への発送メッセージなどに、そっと一言——「ブログもやっています」「メールでもご連絡いただけます」。つながりの糸を、借りている場所の外に一本ずつ
  3. 無料ブログをひとつ開いて、いちばんのお気に入り作品を一つだけ載せてみる——そして、シリーズでおなじみの Wayback Machine(インターネットの保存図書館)に、そのページを保存しておく

どれもお金はかかりません。かかるのは、お茶一杯ぶんの時間だけです。

むすび

借りている場所を大切に使いながら、じぶんの居場所もひとつ持っておく。それだけで、「もし明日あの場所が消えたら」という小さな不安から、自由になれます。

不安がなくなると、ものづくりはもっと楽しくなります。今日もどうぞ、よい制作を。

その他のストーリー